編組機械とは、通称「製紐機」「組ひも機」と呼ばれ、各種の糸や金属線を材料として、これらを交互に交差させて次のような大変広範囲な品物を生産するのに使用され、原糸は繊維糸、樹脂線、金属線を問わず、その編組本数は3~200本の多種にわたる。
日常品 | ゴム紐、靴紐、帯締め、各種日用紐類、帽子材、時計バンド、灯芯、敷物材、帽帯、洋傘紐、 ブラインドコード、麻真田など |
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装飾品 | レース、衣服縁取、モールなど |
工業用品 | 電線、アースバンド、海底ケーブル、ワイヤリングハーネス、工業用パッキン、絶縁スリーブ、 コンヂットチューブ、落下傘コード、ブレーキホース、油圧ホース、酸素アセチレン用ホース、 クリーナーホース、ガーデンホース、航空機、宇宙船用配管材の包強など |
漁業用品 | 漁網用及びトロールロープ、漁網原糸コード、鮪釣り用コードなど |
医療用品 | 手術縫合糸、ファイバースコープ、人工血管など |
レジャー用品 | サポーター、ラケットガット、エキスパンダーコード、グライダーコード、釣糸、釣竿、登山用ザイル、 天幕ロープ、その他結束コードなど |
「ひも」はもともと絹、麻、木綿などの繊維でつくられるから極めて亡び易い。又、美術品としても決して主役をつとめるものではないから無造作にちぎり捨てられることが多い。しかし、古代日本の有名な縄文土器は「ひも」を文様として考案された。奈良朝の「ひも」は今でも法隆寺や正倉院の遺品の中に見られる。ロンドンの大英博物館には1907年に中央アジアで発見された「工芸ひも」が最古の「ひも」として出品され、「ひも」の年令の古さを実証している。
中国では1世紀から6世紀にかけて極めて立派な「ひも」が造り出されたようであるが、日本では奈良朝以降、古代朝鮮や唐から導入された技術により作られたもので当時は、その色彩図案が大陸的なものであったが、平安鎌倉期には純粋に日本化された繊細な作品が生み出されている。
さて、一口に「ひも」といってもそれは余りにも人間生活の身近に存在するため、その定義は難しいものであるが、組成条件により次の7種に便宜上区分して良いようである。
組ひも、織ひも、編ひも、撚ひも、裁ちひも、くけひも、束ねひも、之等の中で一番簡単なものは「裁ちひも」「くけひも」で之等は布皮革などを細かく裁断したもの、次に「織ひも」之は細巾の織物である。「束ねひも」は「ヒデひも」とも呼ばれ、糸などを併列にならべて糊などで固めたもの、「撚ひも」は文字通り撚り合わせ「編ひも」は1本の糸をメリヤス方式に編んだもの、最後に「組ひも」之は3本または3単位以上の原糸を交互に斜交させ組み合わせたもので「ひも」の中では最も複雑多様なものといわれる。強度、色彩、図案の点でも最も高級なものであろう。
次に、現代生活の中で新しく生まれている「ひも」のいくつかを紹介すれば、つりのひもザイル、落下傘ひも、高圧ホースなどである。之等のものにはナイロン、ビニールのような新材料が採用されたり、押出成形のままのビニールひももあり従来のものの様に、組み味や折り目の面白みを言うようなものでなく強度、耐水、摩耗の点など実用面の要求から生まれた「ひも」である。